- 平成の三十年間・歌会始(うたかいはじめ)での天皇陛下御製(ぎょせい)
- 平成2年 お題「晴」
- 平成3年 お題「森」
- 平成4年 お題「風」
- 平成5年 お題「空」
- 平成6年 お題「波」
- 平成7年 お題「歌」
- 平成8年 お題「苗」
- 平成9年 お題「姿」
- 平成10年 お題「道」
- 平成11年 お題「青」
- 平成12年 お題「時」
- 平成13年 お題「草」
- 平成14年 お題「春」
- 平成15年 お題「町」
- 平成16年 お題「幸」
- 平成17年 お題「歩み」
- 平成18年 お題「笑み」
- 平成19年 お題「月」
- 平成20年 お題「火」
- 平成21年 お題「生」
- 平成22年 お題「光」
- 平成23年 お題「葉」
- 平成24年 お題「岸」
- 平成25年 お題「立」
- 平成26年 お題「静」
- 平成27年 お題「本」
- 平成28年 お題「人」
- 平成29年 お題「野」
- 平成30年 お題「語」
- 平成31年 お題「光」
平成の三十年間・歌会始(うたかいはじめ)での天皇陛下御製(ぎょせい)
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平成の三十年・歌会始での天皇陛下御製
御製とは、天皇や皇族が手ずから書いたり作ったりした文章(政令の類は除く)・詩歌・絵画などをいう。一般に歴代の天皇が詠まれた和歌を御製と称する。また「御製」と書いて「おおみうた(大御歌)」と和語で読む場合(歌会始など)もある。日本では天皇および皇室、皇族に関する敬語の一つである
・元々は、上代にて皇族・貴族等が集い和歌を披露しあう「歌会」で、その年の始めに行うものを指す。現在では、年頭に行われる宮中での「歌会始の儀」が特に有名である。
・宮中歌会始は、江戸時代からはほぼ毎年開催され、少しずつ変化をしながら現在に至る。
・明治7年、一般国民からの詠進も広く認められるようになり、明治15年以降は、天皇の御製や一般の詠進歌が新聞や官報などで発表されるようになった。
・昭和22年より、現在のように皇族のみならず国民からも和歌を募集し、在野の著名な歌人が選歌の選考がなされるようになった。これにより、上流社会の行事から一般の国民が参加できる文化行事へと変化を遂げた。
平成2年 お題「晴」
御製
父君を見舞ひて出づる晴れし日の宮居の道にもみぢばは照る
平成2年は「昭和天皇を偲ぶ歌会始」と題された。
平成3年 お題「森」
御製
いにしへの人も守り来し日の本の森の栄えを共に願はむ
平成4年 お題「風」
御製
白樺の堅きつぼみのそよ風に揺るるを見つつ新年思ふ
平成5年 お題「空」
御製
外国の旅より帰る日の本の空赤くして富士の峯立つ
平成6年 お題「波」
御製
波立たぬ世を願ひつつ新しき年の始めを迎へ祝はむ
平成7年 お題「歌」
御製
人々の過しし様を思ひつつ歌の調べの流るるを聞く
平成8年 お題「苗」
御製
山荒れし戦の後の年々に苗木植ゑこし人のしのばる
平成9年 お題「姿」
御製
うち続く田は豊かなる緑にて実る稲穂の姿うれしき
平成10年 お題「道」
御製
大学の来しかた示す展示見つつ国開けこし道を思ひぬ
平成11年 お題「青」
御製
公害に耐へ来しもみの青葉茂りさやけき空にいよよのびゆく
平成12年 お題「時」
御製
大いなる世界の動き始まりぬ父君のあと継ぎし時しも
平成13年 お題「草」
御製
父母の愛でましし花思ひつつ我妹と那須の草原を行く
平成14年 お題「春」
御製
園児らとたいさんぼくを植ゑにけり地震ゆりし島の春ふかみつつ
地震ゆりし島とは、淡路島のこと
平成15年 お題「町」
御製
我が国の旅重ねきて思ふかな年経る毎に町はととのふ
平成16年 お題「幸」
御製
人々の幸願ひつつ国の内めぐりきたりて十五年経つ
平成17年 お題「歩み」
御製
戦なき世を歩みきて思ひ出づかの難き日を生きし人々
平成18年 お題「笑み」
御製
トロンハイムの運河を行けば家々の窓より人ら笑みて手を振る
この御製は、ノルウェー国王の戴冠式も行われた同国北部の古都トロンハイムを訪れ、メッテ=マーリット皇太子妃殿下と共に船で運河を航行された時のことを詠まれたものです。
平成19年 お題「月」
御製
務め終へ歩み速めて帰るみち月の光は白く照らせり
平成20年 お題「火」
御製
炬火台に火は燃え盛り彼方なる林は秋の色を帯び初む
平成21年 お題「生」
御製
生きものの織りなして生くる様見つつ皇居に住みて十五年経ぬ
平成22年 お題「光」
御製
木漏れ日の光を受けて落ち葉敷く小道の真中草青みたり
平成23年 お題「葉」
御製
五十年の祝ひの年に共に蒔きし白樺の葉に暑き日の射す
平成24年 お題「岸」
御製
津波来し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる
平成25年 お題「立」
御製
万座毛に昔をしのび巡り行けば彼方恩納岳さやに立ちたり
平成26年 お題「静」
御製
慰霊碑の先に広がる水俣の海青くして静かなりけり
平成27年 お題「本」
御製
夕やみのせまる田に入り稔りたる稲の根本に鎌をあてがふ
(なお、一部は根付きの稲として、神宮の神嘗祭にお供えになります。)
平成28年 お題「人」
御製
戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ
平成29年 お題「野」
御製
邯鄲の鳴く音聞かむと那須の野に集ひし夜をなつかしみ思ふ
平成30年 お題「語」
御製
語りつつあしたの苑を歩み行けば林の中にきんらんの咲く
(注)キンランは、天皇陛下が戦後間もない時期に小金井にお住みになったときに初めてご覧になった、お懐かしい思い出のある花です。
平成31年 お題「光」
御製
贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に
(注)「はるかのひまわり」は、阪神・淡路大震災で犠牲になった当時小学校六年生の加藤はるかさんの自宅跡地にその夏に咲いたヒマワリで、地元の人々が鎮魂と復興の象徴にと、種子を取って各地に広げたもの。