去る平成三十一年二月十一日、皇紀二六七九年・天皇陛下御即位三十年奉祝の「日本の建国を奉祝する沖縄県民の集い」が日本会議沖縄県本部と沖縄県神社庁の共催で開催された。
今回は、今上陛下の御即位三十年の奉祝を記念して、開会前には内閣府作成の映像「天皇陛下御即位から三十年~常に国民と共に~」が上映された。
第一部の記念式典では、はじめに玉城正範県本部会長代行の主催者挨拶の後、渡慶次馨沖縄県神社庁長からもご挨拶をいただき、昨年の奉迎活動の感動や、本年の御即位三十年の意義についてお話をされた。
そして、来賓挨拶を大山孝夫那覇市議からいただき、外間喬南部支部長による「神武天皇即位建都の大詔」の奉読、沖縄玉岳風会様による御製拝誦などが行われ、最後は参加者全員による万歳三唱で締めくくられた。
第二部の記念講演では、皇學館大学の新田均教授より「天皇の御即位と大嘗祭」というテーマでご講演をいただいた。
近代では初となる「譲位宣命」と、三種の神器を受け継がれる「剣璽渡御」にはじまる御即位の流れや、最も重要である大嘗祭の成り立ち、その意義をわかりやすくお話された。
更に、この度の御譲位と御即位に際して、野党が付帯決議としてねじ込んできた「女性宮家」の問題点を皇位継承図など使いながら解説いただいた。
新田先生は皇位継承問題について、正確な知識に基づいた議論が必要であり、間違った知識を正していく必要性を述べられた。代表的な誤った知識として挙げられたのが「皇統に属する男系男子にしか皇位継承が認められていないのは、女性差別だ」というものだ。しかし、実際に皇室典範が禁じているのは「皇統に属する男系以外の民間男性が皇族になること」であり、女性を排除したものではない。
このような男系による「血筋・血統」という考え方は、世界的にも常識であり、男系による血筋を表すものが「姓(氏)」である。例えば、韓国では結婚しても女性の姓が変わらないが、それは結婚したとしてもその女性の父親(男系の血筋)が変わるわけではないので、姓が変わらないのである。
日本人が現在「姓」として使っているものは本来「苗字」であり、苗字は血筋ではなく「家」を表している。「家」とはつまり「財産と職業」の継承を意味しているのだ。
日本でも古代では「姓」の考え方であったが、武士の台頭と共に「苗字」が現れてきた。
それは、武士が命懸けで守った「土地」や「地位」を次世代に継承していく必要があったからであり、「財産と職業を一緒に守っていく集団」を「家」と表し、結婚して同じ「財産と職業」を継承するので「苗字」が変わるのだ。故に武士の世界では「血筋」そのものよりも「家」を守る為に、養子や政略結婚などが頻繁に行われた。
この「家」の感覚を「皇位継承」に持ち込むことは非常に危険であると新田先生は警鐘を鳴らされる。日本で唯一「血筋・血統」の感覚にたっている「皇位継承」を、庶民感覚・家感覚で捉えてしまう錯覚が「女性宮家導入」の世論形成、議論に繋がっており、皇室の変容を招く恐れがあるのだ。
御代替わりを迎えるにあたり、皇位継承についての正しい知識を深められた建国記念日となった。