南部支部定例会でのミニ講演内容を簡単にまとめました。
生き物としてのジュゴン
・鳥羽水族館(三重県)でジュゴンを見ることができる。伊勢の神宮参拝時はぜひ皆さんも鳥羽水族館まで足を伸ばして欲しい。
・実物のジュゴンを最初に見たときの印象は「大きい」「顔が不細工」「不細工なのに可愛い」
・大人のジュゴンは体長約3m体重約450キロ、ゆっくりと泳ぐ(早く泳げない)。泳ぎは「非常に優雅」(船の上などからみると人魚に見えても不思議ではない)
・寿命は60年~70年程度と言われている。哺乳類。妊娠期間は13~14ヶ月。1度の出産で1頭を産み、母親が子供と一緒に生活する習性。10歳くらいで成体(大人)になる。一生で産む子供はおおよそ5~6頭程度らしい。感覚的には人間とほぼ近い。
・浅瀬に棲み、約3分おきに息継ぎするため海面に浮上する。ずっと潜ってはいられない。
・1日に約30キロの海草類(アマモ類。鳥羽水族館ではロメインレタスも)を食べる
・生息地は日本以外にもフィリピン、タイ、インドネシア、紅海、アラビア半島沖、オーストラリアなどに分布
(出典:http://whales.dolphins-world.net/archives/sirenia/dugongidae/dugong.html)
・マナティとジュゴンは別の生き物。マナティは淡水や汽水域に棲みしっぽの形がウチワ型(扇型)、ジュゴンは海水に棲み尻尾の形はイルカと似た逆V字形
・美ら海水族館で見られるのはマナティ
ジュゴンと沖縄
・旧くは八重山諸島・新城島から琉球王府にジュゴンの皮などが献上されていた
・近代においては、ダイナマイト漁や混獲、戦後の食糧難で貴重なタンパク源となり個体数激減
・最近の沖縄で確認されていたのは防衛局の航空調査で、個体A(嘉陽沖・オス)、個体B(古宇利島近海・メス)、個体C(回遊・性別不明だがオスではないかと言われている)の3頭だった。
・人間とほぼ同じと考えると、群体を維持するには最低でも20頭~30頭くらいが必要ではないか
・今回、個体Bが今帰仁の運天漁港で死骸となって発見された。個体Cはここ数年姿が確認されていない。個体Aも数ヶ月前から行方不明。最悪の想定では、これで沖縄のジュゴンは絶滅した可能性もある
※追加情報 2019.04.19 八重山でのジュゴン目撃情報が環境省から公表され、マスコミ各社で報道されました。
「八重山でもジュゴン生息か 環境省が目撃情報公表」(八重山日報)
八重山でもジュゴン生息か 環境省が目撃情報公表石垣島や西表島などの八重山諸島や多良間島で、ジュゴンの個体や食(は)み跡などの目撃情報が2000年以降に計1…
ジュゴンと政治
・保護や繁殖対策が必要だったと思われるが、既に手遅れと考えられる
・人工的な繁殖は非常に難しく、成功例は世界的に無い様子
・日本国内に研究者はいる。京都大学や鳥羽水族館が中心となっている。研究者は政治に巻き込まれることを非常に嫌っている。
(フリーディスカッション)
(参考)鳥羽水族館のジュゴン「セレナ」動画
(参考2)ジュゴンに関するオススメ書籍
ジュゴンの上手なつかまえ方 海の歌姫を追いかけて (岩波科学ライブラリー)
市川 光太郎 著